レビー小体型認知症(DLB)の診断に使われる指標的バイオマーカーのDATスキャンには、薬剤のドパミントランスポーター(DAT)への結合に影響を与える薬がいくつかあり、併用注意薬として指定あり。そこにSSRIなどの抗うつ薬が含まれている。高齢発症のうつ病とDLBとの関連が示唆されているため、高齢のうつ病患者でDATスキャンを行うことがしばしばあり、内服中の抗うつ薬が時々議論になる。
DATスキャンでの抗うつ薬の影響:DI上の併用注意
ダットスキャン静注のDIの「3. 相互作用 併用注意(併用に注意すること)」より以下抜粋。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬
・フルボキサミンマレイン酸塩
・パロキセチン塩酸塩水和物
・塩酸セルトラリン臨床症状・措置方法: 線条体と背景組織における本剤の集積比が上昇する可能性がある。画像を評価する際に留意すること。
機序・危険因子: 本剤は背景組織に発現するセロトニントランスポーターにも結合するため,背景組織における本剤の集積が低下する可能性がある。
三環系抗うつ剤
・アモキサピン臨床症状・措置方法: 線条体における本剤の集積低下の原因となる可能性がある。画像を評価する際に留意すること。
機序・危険因子: 線条体における本剤の特異的結合を競合的に阻害する可能性がある。
つまり、
- SSRIはSBRを上昇させるから、偽陰性になるかも
- 三環系抗うつ薬はSBRを低下させるから、偽陽性になるかも
ということで、注意するようにとのこと。
抗うつ薬内服時のDATスキャン実施への対応方法
薬剤治療中の場合、本剤のドパミントランスポータ (DAT) への結合を変える可能性のある薬剤をチェックし、そうした薬剤は可能であれば少なくとも 5 半減期は使用しないこと [3]。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI) は、線条体における DAT への結合を 10% 程度増加させることがあるが、視覚的解釈を大きく妨げるものではない [13]。ただし、セロトニントランスポーターへの本剤の結合を阻害するため、バックグラウンドの集積が低下し、線条体集積を過大評価する可能性があるので注意を要する。可能であれば検査前の休薬が望ましい。
可能な限り、下記の休薬期間をとってからの撮像が望ましいが、中止できない場合は、視覚読影への影響は小さいので、併用の影響を踏まえながら評価すれば良い、というスタンスのよう。
| 薬剤 | 休薬日数 |
| パロキセチン | 5 |
| フルボキサミン | 5 |
| セルトラリン | 6 |
| エスシタロプラム | 8 |
| ベンラファキシン | 3 |
| デュロキセチン | 3 |
| イミプラミン | 5 |
| クロミプラミン | 21 |
SSRIの併用注意の根拠

プラセボ前投与と比較して、パロキセチン前投与後、線条体における(123)I-FP-CIT結合比が安定している投与3時間後に、線条体特異的結合比と非特異的結合比の比に統計的に有意な上昇(約10%)。DATへの結合親和性のあるSSRIが、SBRのバックグラウンド領域でより結合するため、SBRとしては上昇してしまうよう。
SSRIとDAT親和性
SSRIの中でもDATの親和性が低い薬剤であれば影響は少ないはず。
各薬剤のDAT親和性を報告したのが次の論文。

SSRIの中だとセルトラリンのDAT親和性はかなり高い。逆に抗うつ薬の中だとミルタザピンのDAT親和性はほぼないよう。
ちなみに、エスシタロプラムのDAT親和性もかなり低いことが報告されている。

これらを考えると、抗うつ薬の中でもミルタザピンやエスシタロプラムは、DATスキャンの結果にそこまで影響を与えない抗うつ薬と考えていいかも。