日々の仕事で溜まりがちなメール返信。特にビジネスメールでは、適切な文体や表現を考えるのに時間がかかります。さらに、英語でのメールともなると、表現の正確さやマナーへの配慮も必要で、負担が増加します。
そこで、MacのショートカットAppとChatGPTを組み合わせた効率的なメール返信方法をご紹介します。正直、この使い方、全Macユーザーがするべきと思っています!
メール返信の課題:時間と手間がかかる!
みなさん、仕事をしていて、メールの返信は毎日非常に時間がかかっているかと思います。例えば、私のビジネスメールの実情は・・・
ビジネスメールの難しさ
- 丁寧な日本語表現にするのが大変。
- 英語メールはさらにハードルが高い。適切な表現やマナーを考えるのに時間がかかる。
大量のメールに圧倒される
- 1日に受信するメールが100通以上、そのうち20通は返信が必要…。
- これをすべて手動で対応するのは非効率。
そんな中、巷で話題の「ChatGPTに返信書かせたらいいよ!」というのを実行していたのですが・・・
ChatGPTで返信を書くと楽だけど・・・
AIに任せると、内容に沿った自然なメールを素早く作成できます。ただし、以下の課題が残ります。
- 毎回メールをコピーしてAIツールに入力するのが手間。
- 作成されたメールも毎回メーラーにコピペが必要。
- 同じ作業を何度も繰り返すのはストレス。
はい、出ました!「同じ作業を何度も繰り返すのはストレス」!!これが出たということは・・・ショートカットAppの出番です!
解決策:ChatGPTを活用したメール返信ショートカットを作成
MacのショートカットAppを使えば、これらの課題を一気に解決できます。
今回作成したショートカットは、以下のステップで、メール返信を自動化します。
- メール本文を全選択(command + A)。
- ショートカットキー(command + option + R)でショートカットを起動。
- 1.でメール本文を選択していれば、自動でその内容を取り込みます。
- 選択がない場合、「テキストは何ですか?」とウィンドウが表示されるので、メール内容をコピペして、「完了」をクリック。
- 入力ウィンドウに返信内容の概要を箇条書きで記入し、「完了」をクリック。
- 以下の形式を選択:
- 日本語 丁寧に
- 日本語 カジュアルに
- 英語 丁寧に
- 英語 カジュアルに
- ショートカットAppがプロンプトを生成し、ChatGPTアプリに入力。
- 生成された返信内容が表示され、「完了」をクリックするとクリップボードに自動格納
自分でやるのは赤字の5作業だけです。あとは、メーラーの返信画面にペーストし、内容を確認・修正後送信しましょう!
メールと生成された返信の具体例
実際にこのショートカットを使用してメールに返信を作成した場合の具体例を紹介します。例えば、次のようなメールが来たとします。
件名:講演のご依頼(MacショートカットAppを活用した時短術について)
小雛田 誠 様
突然のご連絡を失礼いたします。
私、○○株式会社の田中と申します。
このたびは、小雛田様にぜひご講演をお願いしたく、ご連絡させていただきました。
当社では、ビジネスパーソンを対象にした業務効率化をテーマとしたセミナーを定期的に開催しており、今回のテーマとして「MacのショートカットAppを活用した時短術」を取り上げたいと考えております。ショートカットAppを効果的に活用されている小雛田様の知識や経験をお話しいただければ、多くの参加者にとって非常に有意義な時間となると確信しております。
つきましては、以下の日程のいずれかで、質疑応答を含む約60分間のご講演をご検討いただけますと幸いです:
• 10月4日(水)
• 10月11日(水)
• 10月18日(水)
会場は△△を予定しておりますが、ご希望に応じて調整可能です。
ご多忙中とは存じますが、何卒ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。なお、ご不明点や詳細のご確認事項がございましたら、どうぞお気軽にお知らせください。
ご返信を心よりお待ち申し上げております。
敬具
このメールにを取り込み、返信内容に「10月11日で引き受ける」とだけ記載し、「日本語 丁寧に」を指定して作成してもらったのが、以下のメールです。
件名:講演のご依頼(MacショートカットAppを活用した時短術について)
○○株式会社
田中様
平素よりお世話になっております。小雛田誠です。
このたびはご丁寧なご依頼をいただき、誠にありがとうございます。
「MacのショートカットAppを活用した時短術」をテーマにしたご講演の件、ぜひお引き受けさせていただきたく存じます。
日程につきましては、10月11日(水)が都合よろしいかと存じます。
また、会場やその他の詳細につきまして、改めてご教示いただけますと幸いです。
ご準備などでお手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ご不明点がございましたら、どうぞお気軽にご連絡くださいませ。
何卒よろしくお願いいたします。
敬具
小雛田 誠
うむ、とても私が書いたとは思えないくらい、丁寧なお返事。
やったことは、
①届いたメールをCommand+Aで全選択
②このショートカットを起動するCommand+option+Rのショートカットキーを押す
③「10月11日で引き受ける」とタイピングして「完了」をクリック
④「日本語 丁寧に」をクリック
⑤結果が表示されたら「完了」をクリック
⑥メールの返信画面にCommand+Vでペースト
のたったこれだけです。これでどれだけ時短になったことか・・・。
時々内容が少し変なことがあるので、ペーストして確認したあと、微修正が必要なこともありますが、その修正も今のところ非常に少なくて済んでいます。
ちなみに、「日本語 カジュアルに」を選択すると、以下のような返信メールが生成されました。
田中様
ご連絡ありがとうございます。ご依頼いただいた講演、ぜひお引き受けさせていただきます。
日程については、10月11日(水)で問題ありません。詳細や準備に関するご連絡をいただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします!
小雛田
相手に合わせて、適切に文体を選べていい感じですね!
返信メール作成ショートカットのアルゴリズム
では、このショートカットの構成を紹介します。
まず、Mac用のChatGPTアプリをインストールしておいてくださいね。
手順1. ショートカットキーの設定
まず、このショートカットを実行するためのショートカットキーを設定します。例では、command + option + Rを使用します。すると、「クイックアクション、画面上のものからの入力を受け取る」アクションが自動作成されます。
- 「クイックアクション」を設定すると、選択中のテキスト(メール内容)が「ショートカットの入力」として取り込まれます。
- 入力がない場合を考慮し、「もし入力がない場合」に「テキストの入力を要求」を設定しておきます。
•これにより、ショートカット起動時にメール内容を直接コピペできるウィンドウが表示されます。
手順2. メール内容の変数化
「変数の設定」アクションを追加し、1.「ショートカットの入力」で取り込んだメール内容を「メールの内容」という変数に設定します。
手順3. 返信の概要を入力する設定
- 「入力を要求」アクションを追加し、ユーザーが返信内容の概要を入力できるウィンドウを作成します。
- 入力された内容を「返信の概要」という変数に設定します(「変数の設定」を使用)。
手順4. メールの形式を選択するメニュー作成
「メニューから選択」アクションを追加し、以下の4つの選択肢を作成します。それぞれに対応する文体を設定します。
- 日本語 丁寧に:
• 「日本語で丁寧なビジネス向けの文体で」 - 日本語 カジュアルに:
• 「日本語でカジュアルな文体で」 - 英語 丁寧に:
• 「英語で丁寧なビジネス向けの文体で」 - 英語 カジュアルに:
• 「英語でカジュアルな文体で」
選択結果を「メールの形式」という変数に設定します。
手順5. ChatGPT用プロンプトを生成
「テキスト」アクションを使用して、ここまでの手順で設定した3つの変数「メールの内容」「返信の概要」「メールの形式」を利用して、プロンプトを作成します:
以下の #メール に #返信の概要 に従った返信を、「メールの形式」で作成して。 No talk.
#メール"""
「メールの内容」"""
#返信の概要"""
「返信の概要」"""
これにより、ChatGPTに渡す具体的な指示が整います。
手順6. ChatGPTへの送信と結果の取得
「Ask ChatGPT」アクションを追加し、手順5.で作成したプロンプトをChatGPTに送信します。ChatGPTの生成結果が次のアクションに渡されます。
手順7. 生成された返信をクリップボードにコピー
• 最後に、「クリップボードにコピー」アクションを追加し、ChatGPTの生成結果をクリップボードに保存します。
これで、すぐにメール返信画面にペーストできる状態になります。
使用感とメリット
大幅な時短!
• 悩みがちなビジネスメールが瞬時に作成できる。
• 特に、返信すべき内容は思いつくのに書き方で悩んでいた人に最適。
柔軟性の高さ
- メールアプリに依存せず、テキストを選択すれば対応可能。
- メール以外の文章に対する返信作成にも応用可能。
改善点
- ChatGPTの出力が過剰に丁寧になることがあるので微調整は必要。
- 宛名や一部の表現ミスが起こる場合もあるが、手動修正でカバー可能。
という感じですが、今のところこのショートカットを使い始めて、圧倒的にメリットを感じています。
実は一番使っているのが英語メールへの返信で、その次が目上の人への日本語での返信ですが、先ほど「日本語 カジュアルに」のデモをしてみて、親しい相手への返信も、このショートカットを使う効果を実感しました。ますます使用頻度が高まりそうです!
まとめ:生成AI × ショートカットで生産性向上!
ChatGPTを使ったメール返信ショートカットは、単なる便利ツール以上の効果を発揮します。手間が減るだけでなく、英語メール作成のハードルを下げ、ストレスフリーな業務環境を実現します。
最近、AIエージェント機能として、ChatGPTが他のアプリにアクセスして操作できるようになっていますが、このChatGPTとショートカットAppの組み合わせは、決まった手順での決まったアプリとの組み合わせに限定されますが、擬似的にChatGPTと他のアプリをコラボさせ、より幅広く使えるようにした形になります。メールの返信以外にも多くの使い道がありそうですね!
ビジネスメール対応に時間を取られている方は、ぜひこの方法を試してみてください!